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ドクターコラム:肌の再生医療「真皮線維芽細胞治療」とは

肌の再生医療「真皮線維芽細胞治療」とは

執筆:本田 隆司(SENSHIN CLINIC医師 / 日本形成外科学会 専門医 / 医学博士)

 

肌の老化について

肌の老化の原因は主として真皮線維芽細胞(以下肌細胞)の減少およびメンテナンス機能の低下と言われています。

若い肌を維持するためには、肌細胞が産生する3大要素、すなわちコラーゲンヒアルロン酸エラスチンが重要ですが、肌細胞は20歳を境に急速に減少し始め、50歳を超える頃には20歳頃の約1/3にまで減少するので、それとともにこの3大要素が減少し、結果的にしわ、たるみ、クマなどの老化症状を招くわけです。

 

治療の目的と効果

このような肌の老化症状に対し、培養して増やした自己の真皮線維芽細胞をしわ、たるみ、クマなど、顔や首の加齢とともに気になってきた部位に大量に移植して老化した肌を修復し、整容的改善を図るのが肌の再生医療です。移植する細胞は患者様ご自身の皮膚から採取、培養されたものですので拒絶されることなく生着し、徐々に肌細胞として機能するため肌の老化症状の改善のみならず肌の老化速度を遅らせるという効果をもたらします。

ただし、移植細胞を含め肌細胞全体の老化は経時的に進むため、その効果をより長期にわたって維持するためには1年に1回程度の細胞の追加注入をお勧めしています。

 

治療法の開発と発展

本治療法は米国のIsolagen社(現Fibrocell Science社)により1995年に実用化され、その後米国FDAの臨床試験を経て、その安全性と有効性が確認されました。(Weiss RA et al. 2007年)

国内では2003年に北條らによって本治療が開始され、その後細胞培養および保管管理の受託、細胞培養加工技術の提供などが事業化(株式会社セルバンク)されたことにより広く普及しました。

同社によれば2024年現在までに当院を含めた連携医療機関で実施された症例数は延べ30,000例にのぼっておりますが、本治療に起因すると考えられる重篤な有害事象、すなわち感染、腫瘍形成、死亡などは一例も確認されておりません。

 

当院における本治療の特徴

当院では、とくにアンチエイジング効果をより実感しやすい方法として、気になる部位に重点をおき、それ以外にも顔や首全体に広く移植することを推奨しております。

もちろんその分細胞の注入範囲が広くなり治療時間も長くなるデメリットはありますが、治療効果を、見る人の主観や写真での印象ではなく、より客観性の高い評価が可能な肌診断装置(NeoVoir®)を用いて確認していただいた方が患者様の満足度が高いと感じており、そのためには、部分的治療よりも顔全体の治療の方が適していると考えているからです。

その際の最大の不安要素は治療時の痛みと思われますが、当院ではその点にも十分配慮し、真皮内への細胞注入に際しては35G の極細針を使用する、クリーム塗布による表面麻酔だけでなく、神経ブロック、笑気麻酔などを合わせて用いる、などにより、患者様ができるだけ痛みや不安を感じることなく安心して施術を受けられるように努めております。

SENSHIN CLINIC